聖地の誇り
今朝の讀賣編集手帳。ブッシュに柏崎が重なった。
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ブッシュ大統領がニューヨーク市のヤンキー・スタジアムで始球式をしたのは2001年の10月である。本番の前、ヤンキースの花形遊撃手デレク・ジーターが大統領に尋ねた。「正規のプレートから投げますか」◆それともマウンドを降り、捕手に近い場所から投げますか、と。同時テロ直後のことで、防弾チョッキを着用していては思うように投げられそうもない。マウンドを降りて投げよう、と大統領は答えた◆ジーターは言ったという。「ブーイングされますよ。プレートから投げるべきです」。ボブ・ウッドワード氏の「ブッシュの戦争」(日本経済新聞社)に見える挿話である◆素人にも甘えは許さない。グラウンドという聖地に立つ選手の誇りだろう。たゆまぬ鍛錬で理想の身体に至る道のりを、薬物の力で縮める。思えば薬物使用も、距離を縮めるための甘えにほかなるまい◆薬物使用の実態を調べた報告書に、米球界が揺れている。汚染されたとして実名を公表された86人には、ロジャー・クレメンス投手、ミゲル・テハダ内野手などの超一流のスター選手も含まれていた。ファンは信じたくないだろう◆正規の距離を投げる大統領にジーターは言ったという。「ワンバウンドもブーイングですよ」。正々堂々、技術はあくまで高く――聖地の誇りを取り戻すしかない。
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